用語

    建前

    建前は、外に向けて出されるほうの理由です。本音はその下にあります。この方法では、行動の直前に出てくるほうの理由を建前と呼びます。

    日本語にもとからある言葉です。会社にも、親戚の集まりにも、断りの連絡にもあります。この書庫が足したものは一つだけで、宛先が自分自身でも同じことが起きる、という点です。

    建前と本音

    建前と本音は対になっています。外へ出すほうと、下にあるほう。日本語を使う人に説明が要りません。この語が採られたのは、それが最大の理由です。

    この対の良いところは、どちらの側にも判定が入っていない点です。建前を出した人は嘘つきではありません。本音を言わずにいる人は卑怯でもありません。二つの層がある、という形だけを言っています。

    この方法が必要としていたのは、まさにその形の言葉でした。人を裁かずに、構造を名指しできる語です。ほかの言語では、この位置に置ける語を探すのに時間がかかりました。日本語では、もう置いてありました。

    回路のなかでの位置

    順番のなかでは二番目です。体のサインが一番目、建前が二番目、行動が三番目。

    二番目は、この方法では語りとも呼びます。語りは受け取るものです。組み立ててはいません。出来上がった形で届きます。だから自分の考えのように聞こえます。実際、自分の考えと区別がつきません。

    建前は、その語りが外を向いたときの姿です。頭のなかにあるうちは語りで、口に出したり、送信したり、誰かに説明した時点で建前になります。中身は同じものです。

    [仕組み]

    体のサインが先。建前はそのあと。行動は最後。

    建前が正しいか間違っているかは、この方法では見ません。

    見るのは、それが胸の締まりより前に来たか、あとに来たかだけです。

    よく出る形

    中身は、驚くほど決まっています。この書庫がいちばん多く受け取っているのは、次のような形です。

    今は時期が悪い。少し一人で考えたい。仕事が立て込んでいる。言っておいたほうが相手のためになる。もう少し準備してからにしたい。今日は疲れている。あの人には悪いところがある。

    どれも本当です。そこがこの語の急所です。建前は嘘で出来ていません。本当のことのうち、いまいちばん使える一つを選んで前に出したものです。だから反論できません。反論できないように選ばれています。

    その理由は正しかったはずです。正しくない理由なら、そもそも使えなかったはずです。

    別の言い方を採らなかった理由

    候補はありました。言い訳、口実。どちらも日本語として自然で、どちらもこの場面で通じます。採りませんでした。

    言い訳という語は、言った人についての判定を含んでいます。言い訳をした、と書いた時点で、読んだ人は自分について一つ結論を受け取ります。そのあとに続く説明は、全部その結論の上に乗ります。

    この書庫は、読む人についての結論を渡しません。渡すのは並びです。並びを渡された人は、次の火曜に何かができます。結論を渡された人は、たいてい何もできません。夜中に一度うなずいて、それで終わります。

    言い訳という言葉自体は、この書庫でも使います。禁じてはいません。ただ、この位置の名前にはしません。名前は毎ページで繰り返されるもので、繰り返される判定は、そのうち事実の顔をします。

    建前の見分け方

    中身では見分けられません。正しさでも見分けられません。時刻で見分けます。

    胸が締まるより前にその考えがあったなら、それは考えです。胸が締まったあとに来たなら、それは建前です。文がまったく同じでも、来た順番で別のものになります。

    もう一つの目印は、出来の良さです。建前は完成した形で届きます。迷いがありません。言葉に詰まりません。数秒前まで存在しなかったのに、もう理由として仕上がっています。自分で考えたものは、たいていもう少し不格好です。

    [心当たり]

    理由を口に出したあとで、自分でも納得したことがあるはずです。

    その納得は、理由が正しかった証拠ではありません。

    建前は、いちばん最初に自分を納得させるように出来ています。

    建前が出たあとにすること

    言い負かす必要はありません。建前と議論を始めた人は、たいてい負けます。向こうのほうが準備ができています。三十年ぶん準備ができています。

    本音を探し当てる必要もありません。発掘は四つの扉のなかで唯一の任意の扉です。下に何があるか分からないまま、上を止められます。順番を止めるのに、出どころは要りません。

    することは一つです。順番を確かめて、窓の内側で声に出します。「胸が閉じた。理由があとから来た。この部屋からは出ない。」建前はそのまま残ります。行動が出ないだけです。

    行動が出なければ、その建前は使われなかったことになります。使われなかった建前は、次に少し弱く出ます。何度か続くと、出てきた瞬間に見分けがつくようになります。そこまで来ると、これはもう理由ではなく、天気のようなものになります。

    このファイルに届く質問

    建前とは何ですか?

    体のサインのあとに届く、行動を筋の通ったものとして説明する理由のことです。外に出すほうの理由で、本音はその下にあります。この方法では、順番の二番目を指しています。

    本音とはどういう関係ですか?

    対になっています。建前が外に出すほうで、本音が下にあるほうです。ただしこの方法では、本音を掘り当てることは必要条件ではありません。上を止めるのに、下が何かを知っている必要はありません。

    建前は嘘ですか?

    嘘ではありません。建前は本当のことで出来ています。本当のことのうち、いまいちばん使える一つを選んで前に出したものです。だから反論できず、だからよく効きます。

    言い訳とは何が違うのですか?

    言い訳という語は、言った人についての判定を含みます。この書庫は読む人に結論を渡さず、並びを渡します。建前は形だけを名指しして、人を裁きません。言葉としては使いますが、この位置の名前にはしません。

    建前かどうかは、どうやって見分けますか?

    中身ではなく、来た順番で見分けます。胸が締まるより前にあった考えは考えです。あとに来たものは建前です。もう一つの目印は出来の良さで、建前は迷いのない完成した形で届きます。

    本音を見つける必要はありますか?

    ありません。発掘は四つの扉のうち唯一の任意の扉です。出どころが分かると恥は下がり、形の説明はつきますが、それ自体は何も止めません。止めるのは、窓の内側で出す一言です。

    建前が出たときは何をしますか?

    順番を確かめて、窓の内側で声に出します。サインの名前と、断りの一言です。建前はそのまま残ってかまいません。止めるのは行動のほうです。

    建前に反論するとどうなりますか?

    たいてい負けます。建前は反論できないように選ばれた本当のことで、しかも何十年ぶんの練習を積んでいます。議論の相手にすると窓が閉じます。中身ではなく順番を見るのは、そのためです。

    会社や付き合いで使う建前と同じ意味ですか?

    同じ言葉で、宛先が違います。ふだんの建前は他人に向けて出します。この方法で見ているのは、自分に向けて出される建前です。仕組みは同じで、聞き手だけが変わります。

    建前の中身が本当に正しい場合はどうなりますか?

    正しいままです。この方法は建前の正しさを争いません。正しい理由が、たまたま毎回同じ胸の締まりの三秒後に出てくるなら、見ているのは理由ではなく順番だ、という話です。

    建前は出なくなりますか?

    しばらくは出ます。変わるのは、出てきた瞬間に見分けがつくようになることです。使われなかった建前は次に少し弱く出て、そのうち理由ではなく天気のように通り過ぎます。

    建前を使ったと相手に伝えるべきですか?

    必要ありません。これは自分の側の作業で、相手の同意も理解も要りません。伝えるかどうかはまったく別の判断で、窓の内側でする決定ではありません。

    入口

    自分のパターンがどんな建前を出すかは、それぞれのファイルに書いてあります。パターンを特定する設問は、いまのところ英語だけです。日本語でそのまま渡せるのは、窓と、体のサインと、切り方です。

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    9つのパターン · 4つの扉 · ひとつのファイル