橋渡し
これは好き避けですか、それとも動いているパターンですか?
好きな人の前でだけ、目をそらしてしまいます。ほかの人とは普通に話せるのに、その人が近くに来ると、返事が短くなり、用もないのにその場を離れます。
好き避け、という言葉を知って、これだと思いました。この記録は、その言葉を取り上げません。当たっているところを先に書き、当たっていない一点を、そのあとに書きます。
好き避けという言葉は、何を言い当てていますか?
向きを言い当てています。避けているのは、人全般ではありません。好きな人だけです。人見知りなら、知らない人全員の前で同じことが起きます。これは相手を選んでいます。
そして、本人の意図と逆に動くことも言い当てています。近づきたいのに、体は離れる。話したいのに、口はそっけない。やめたいと思っている人がこの言葉を探すのは、そのねじれに名前が欲しいからです。
[現場観察]
この一か月で、好きな人の前で目をそらした場面を三つ思い出します。
同じ一か月で、ほかの人の前で同じことをした場面を探します。
片方の列だけが埋まるなら、その向きが、この言葉の当たっている部分です。
では、その言葉はどこで止まりますか?
外から見た形で止まります。好き避けという言葉は、相手の側からどう見えるかを言っています。目をそらす、冷たく見える、避けているように見える。内側で、どの順番で何が起きているかは書かれていません。
もう一つあります。この言葉は、始まる前の恋の話として使われます。両思いになれば終わるもの、という前提が入っています。確かめられる点はそこです。相手のほうから近づいてきたとき、避け方は弱まりますか。それとも強まりますか。
人見知りは、受け入れられると小さくなります。笑い返されると、次のあいさつが楽になります。この順番は逆に動きます。目が合い返された、向こうから連絡が来た。その直後に、そらし方が強くなります。
向こうが一歩近づいた日に、こちらは二歩下がっていました。
近づかれたときに強まるのは、どの動きですか?
この書庫では、この順番は遠ざけるパターンという名前で保管されています。近づいてきた相手から、こちらの側で先に間を空けること。決め手は相手ではなく、近づかれた瞬間のこちらの体です。
好きな人の前で起きていることは、この順番のいちばん早い形です。恋人になった相手に、友だちに、家族に、同じ形が出ることがあります。近さが増えると、こちらの側で先に距離を置く。場所が変わっても、順番は同じです。
[仕組み]
先に来るのは体です。顔が熱くなり、胸が詰まり、視線が勝手に外れます。
そのあと数秒のうちに、そっけない返事か、その場を離れる動きが出ます。
熱のあとに来る考え、気づかれたら困る、どうせ相手にされない、これは原因ではありません。語りです。
名前がしている仕事は一つです。好きかどうかの話と、体が先に下がる順番の話を分けること。好きな気持ちは直すものではありません。直せるのは、その数秒のほうです。
[実地課題]
一週間、相手のほうから近づいてきた場面だけを書きます。目が合った、話しかけられた、連絡が来た。
その横に、こちらがしたことを一行で書きます。
数えるのは回数ではありません。近づかれた直後に、こちらが下がったかどうかです。
そらす動きは、どこで切れますか?
窓は数秒です。顔が熱くなった時点で開いて、視線が外れた時点で閉じます。その内側では、まだ引き返せます。
[中断のことば]
声に出さず、息を吐きながら心の中で一回。相手の前でも言えます。
顔が熱い。下がろうとしている。今回は下がらない。
そのあと、手元にある一番小さい逆の動きを一つだけします。一秒長く目を合わせる。おはよう、と一言だけ返す。それだけです。
一人になれたら、同じ言葉を声に出して一回言います。回路は言葉の下を走っていて、頭のなかで決めるやり方は効きませんでした。ささやきでも数に入ります。
告白の練習ではありません。距離を一気に縮める話でもありません。ここでやっているのは、下がる動きを一回だけ出さないことです。積み上がるのは、その一回のほうです。
好きな気持ちはそのままで構いません。下がる一歩だけを、今日一回、止めます。
このファイルに届く質問
これは好き避けですか、それとも動いているパターンですか?
好き避けという言葉は、向きを正しく言い当てています。確かめられるのは一点です。相手のほうから近づいてきたとき、避け方が強まるなら、それは近さに反応して動く順番です。
好き避けは、どうすればやめられますか?
やめると決めるだけでは、顔が熱くなったあとには間に合いません。この記録が扱うのは、顔が熱くなってから視線が外れるまでの数秒です。そこで一回だけ、下がらずにいます。
好きな人ほど避けてしまうのは、どうしてですか?
近さそのものに、体が先に反応しているからです。好きな相手ほど近さの意味が大きいので、反応も大きくなります。気持ちの強さの問題ではなく、順番の問題です。
人見知りとは違うのですか?
人見知りは、相手を選びません。知らない人全員の前で起きます。そして受け入れられると小さくなります。好きな人の前でだけ起き、近づかれると強まるなら、それは別の形です。
両思いになれば、自然になくなりますか?
それは、ここから答えられることではありません。確かめられるのは今の記録です。向こうから近づいてきた日に、避け方が強まっていたかどうか。強まっていたなら、関係が始まったあとにも同じ順番が出ることがあります。
避けてしまったあと、相手に説明したほうがいいですか?
説明するかどうかは、こちらが決めることです。このページが扱うのは説明ではなく、次に近づかれたときの数秒です。説明しても、次の顔の熱は同じ場所に来ます。
顔が熱くなって目をそらすのは、どうしてですか?
顔の熱が最初の一枚だからです。視線が外れる数秒前に来ます。恥ずかしさの結果ではなく、順番の先頭です。先頭が分かれば、そこが手の入る場所です。
恋人や友だちにも、同じことをしている気がするのはなぜですか?
同じ形が、別の場所で出ることがあります。近さが増えると、こちらの側で先に距離を置く。好きな人の前で起きていることは、その順番のいちばん早い形です。場所が変わっても、見る数秒は同じです。
これは病名ですか?
違います。この記録は病名をつけません。好き避けも、ここでは言葉として扱います。ここにあるのは、近づかれた直後に何がどの順番で走るかという記録だけです。
今週、何を一つすればいいですか?
相手のほうから近づいてきた場面だけを、一週間書きます。その横に、こちらがしたことを一行。近づかれた直後に下がっていたかどうかが、七日分並びます。
入口
遠ざけるパターンのファイルは、日本語でそのまま置いてあります。近づかれた数秒に何が起きるかと、その数秒で一歩だけ下がらずにいる方法まで。
日本語で読めるものを見る →9つのパターン · 4つの扉 · ひとつのファイル